戦略まとめ

世界1のマクロを徹底解剖 日米スクリム3試合目から北米最強のメタと動きを分析 前編

今回は先日行われた日米スクリムの3試合目から北米最強チームttvのメタと動きを分析し、世界1位のマクロを徹底解剖していこうと思います。

スクリム全体の所管についてはこちらをご覧ください。

わざ選択と構成

上・GA 下ttv

構成は上ルートにプクリンとハピナス、下ルートにカビゴンとウッウ、中央ゲッコウガという日本のソロランクマッチではほとんど見かけない構成になっています。上下ともに日本のソロランクでの流行のセオリーからは外れていますがこれらの意図はなんでしょうか。

既存のセオリーであれば上レーンは下レーンと比べて経験値が少ない(タブンネはエイパムやヘイガニより経験値が多いため)ので上には低いレベルでも戦えるポケモンを、下には3進化など経験値を集めたいポケモンを置いていました。しかし、今は中央に3進化のゲッコウガをほぼ必須としています。

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参考:最新のランキングでは1000ピック中200ピック、1試合10ピックに2回でてくるため必ず相手にも味方にもいるレベルの使用数

このポケモンのレベルが勝敗に直結している面が少なからずあるため、経験値をゲッコウガに集める都合上他の3進化ポケモンを入れる余裕がありません。現にゲッコウガ以外の3進化ポケモンは選択数1000回中0~10回となっています。
さらには初戦のカジリガメがとても重要であるのも3進化が好まれない理由に拍車をかけています。

結果、下レーンには序盤から野生ポケモンの取り合いに強く、最初のカジリガメ戦で戦力になり、後半経験値を譲ってもいいポケモンが求められています。なおかつ、ttvは上レーンへのガンクを徹底(理由は後述)しているのもあり、下レーンに相手がガンクを仕掛け3vs2になったときに比較的安全にミツハニーを狙いに行けるためウッウ、カビゴンを選択したのだと考えられます。

安全に遠くからミツハニーを奪取

下レーンのガンクを選択しない理由もここにあると考えられます。
レーン強者が集う下レーンではレベル5があまり強くないゲッコウガで安定した成果を上げることが難しいです。さらには相手の下レーンガンクによって人数差ができたとしてもカビゴンとウッウであればゴール下での守りが強く、2vs3になったときゴールまでつなげられるリスクが低いです。
下レーンでリスクをとるよりも上レーンにガンクしゴールまでつなげることで下レーンでミツハニーを多くとられた分をチーム全体としてはペイできる戦術になっています。

日本では軽視されている上レーンですが、北米主催の大会を観戦したところ上レーンへの介入は多いようです

上レーンへのガンク ttvは北米の大会でも同じように上レーンへガンクをしていた

また、下レーン重要視が強い日本の環境では2回目のミツハニーに5人全員が下にあつまることが多いですが、ttvは2回目のミツハニーで上レーンに一人残し、ミツハニーとゴール経験値を稼いでからカジリガメに向かっています。他の試合でもそうですが北米ではこの経験値が重要視されているようです。

このような戦術において上レーンにプクリンを残すという選択肢は非常に理にかなっています。なぜならプクリンはユナイト技を覚えるのがレベル8と早く、ここで稼いだ経験値でレベル8にいち早く到達することでカジリガメ戦をかなり優位に進めることができるからです。相方としてがくしゅうそうちハピナスを選んでいるのもカジリガメ戦でのプクリンのレベル8到達を早めるのに一役買っています。

道中のヘイガニとタブンネでレベル8が見込めるタイミングでの移動

日本の上位レート帯のシーンでも4vs5から1人落とされ、そのままゴールを割られてしまうケースは多々あります。ttvはこのような状況では下のミツハニーで無理をしない判断をしているようでした。
上レーンに一人残す場合、相手視点からは上の視界がとれていないため人数有利であることに気づきにくいのに対し、残してる側は人数不利になることを頭に入れておけるため押し引きの判断が早く行えます。
こういった的確な判断がttvの強さのひとつと言えるでしょう。

また、下レーン4人にミツハニーを取られることよりも残ったポケモンが上でミツハニーを総取りするアドバンテージの方が大きいです。下レーンでミツハニーを総取りした場合のカジリガメ戦の影響としては、レーンのポケモンの6→7が近づくことと中央のポケモンのゲッコウガのレベル9が近づくことが考えられます。現環境のレーンポケモンに6→7で大きく変化するポケモンが少ないため前者の影響力は小さめ、この経験値だけではゲッコウガのユナイト技を覚えるタイミングに実質的な差はあまりでません。総合的に見て上ルートのプクリンがユナイト技を覚えて降りてくるアドバンテージのほうが大きいです。実際にこの試合でも・GA側のゲッコウガのユナイト技に対してプクリンとゲッコウガの2枚のユナイト技で切り返すことで場を制圧していました。

・GAのゲッコウガ・ttvのプクリン、ゲッコウガによる三人同時のユナイトわざ発動 

上レーンのピックはサポート枠(相方に経験値を譲る)にハピナスと経験値を集めてレベル8のユナイトわざをもってカジリガメ戦を安定させるためのプクリンなのではないかと考えられます。

今回は構成の意図と最初のカジリガメ戦までのマクロを考察していきました。後半では、その後の動きを徹底解剖していく予定です。それでは。

8/30追記 後半はこちらになります

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